SCHOOL/済谷川蛍
 
「あの、犬と猫、どっちが好き?」
 にゃりおは一瞬びっくりした顔をして、はにかみながら俯いて答えた。
 「え、あ、……どっちも好きです」
 「きみの名前は何ていうの?」
 「あ、波母山《はもやま》です。波に、母に、山……」
 「めずらしい苗字だね」
 「よく言われます。読めないって……」
 「波母山くんは何年生なの?」
 「中二です」
 「へえー。動物って、本当に可愛いね」
 「はい、本当に可愛いです」
 「無邪気なのがいいんだなあ……。装ってないのに可愛い」
 「……はい」
 竹中はこの少年が相手なら自分が思った以上に饒舌になれることがわかり、調子にのった。
 「人間
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