スパークリングドブロ/不老産兄弟
耳を澄まさなければ聞こえないような
そうでもないような
そうでもないような音
と
パーカッションに導かれ
ついにシビのダムまでたどり着いてしまった
言い伝えられたものが
現実を凌駕し
そして現実は
シビの川神に仕える侍衛となる
現実に支えられた建造物の前に
シビは今でも君臨し
ユーコンの源流を曲げる
テナーサックスの絶え間ない輝きは
おそらく伝説だろう
あの輝きは
伝説だろう
シビから目をそらすにつれて
その手にそっと接吻すると
足下から水が引いていくのがわかる
この時シビを愛しシビに祈る
その輝きをもってすれば
彫像になることもたやすかったろうに
僕はこの建造物を
明日からしばらく散策しているだろうから
何かあったらすぐにメールしてほしい
(スパークリングドブロの休日より『エリック・ホンジョウ』)
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