雨上がり/森未
 
アスファルトを
冷やして
しゅわりと水蒸気
たちこめるにおい
苦しくなって
でも深呼吸

冷えたのは一瞬
生ぬるい温度が
足を伝って
透明な傘から
にじんだオレンジが眩しい
喉が渇いたよ

地面にしみ込んだ雨粒みたいに
強くたたきつけて
はじけて
消えてしまうことができたらなあ
と、想像する
するりと
首筋を伝う汗に目が覚めて
簡単にできないことを知る

溜息は
白い熱気と一緒に消えて
今日もやさしい灯のともる
あの家に帰る



戻る   Point(3)