瓶ノ墓/服部 剛
曇り日の
凪いだ海に漂う
うつぶせなサーファー等の上に舞う
アホウ鳥の呑気(のんき)な飛翔を眺めつつ
理由(わけ)もなく
「にたぁ」とほほえんでみる
僕は
もう
疲れてしまった
自分
と
他人
の
顔のつくりが違いすぎて
歩幅とスピードも違いすぎて
隣にいた君の姿は
「あ」っという間に
顕微鏡で覗いた微虫の如き者になってしまう
昨晩僕は
母校の理科室にて
徹夜で
顕微鏡のレンズ下に覗く
微虫等を結ぶ縁糸(えにしいと)より
人間関係の図式を編み出そうとしていた
夜が明けると
全てはぼやけ
顕微鏡は半開きの窓から
「ぽい」と棄てた
僕は
ひとり海辺で
曇り空を見上げる
(そのあまりに細い雲間の青を探して)
片手に飲み干した
「元気ハツラツオロナミンC!」のビンを *
砂に ぎゅっと 埋め込んで
* 大塚製薬「オロナミンC」のキャッチコピー
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