きみの声/
シホ.N
きみの声を
遠くで聴いた
きみの眼の中
僕はいなかった
誰のものでも
なき人よ
誰かわからぬ
その人よ
遠くの声に
きみが響いた
多くの眼のうち
きみだけ光った
僕が泣くとも
知らぬ世よ
僕が無くとも
覚めぬ世よ
ひとつの声を
あげる怖さ
ふたつの眼により
見る厳しさ
すべての時間を
たたみ込み
すべての空間
だき込んで
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