高原の風/ヒヤシンス
 

高原に風がそよぎ、象徴の塔の輪郭を撫ぜる時、
私の感覚はあるひらめきと邂逅する。
詩作の種は私の心に蒔かれ、芽を出すのを静かに待つ。
風がその種を遠くに運んでしまわないように見守りながら。

塔の鐘が鳴る。風はその音を歪ませないよう清涼さを増し、
透明なそよぎは高原に佇む私の心に深く沁み込む。
感性による感覚に感情を込める事が出来るかどうか、
私はそっと風に尋ねる。風は優しいが微笑む事はしない。

それで良いのだ。私はきっと答えを求めてはいない。
自分の感性を信じて突き進むしかないのだ。
私は心のプランターに芽が出るのをじっくり楽しみながら待っている。

悠久の時を思わせる高原に寝転がり、ゆったりと流れる時の中、
私は私のひらめきを咀嚼する。まだ花は咲かないようだ。
永遠とも想われる高原の風に父性の足跡を辿り、一人眺める。

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