【凪】詩人サークル「群青」七月のお題「風」から/そらの珊瑚
 
プロペラから
風が生まれる
その中心を
つかんで
風を止められるかどうか
幼いきょうだいが
度胸だめしをしている

扇風機の首振りボタンで
風を分けあって
涼と熱を共有していた
ちりん
南部鉄の風鈴を
通りすがりの風がふれていく

墓を買おうと思うの
海が見える素敵なところよ
母の電話のむこうで
海は凪いでいた

母の父親は
そんな遠いところへ
わざわざ嫁ぐことはないといって
結婚に最後まで反対だったという
ひっこみがつかなくて
結婚式も欠席だったのと
母は笑う
今では新幹線で最寄りの駅までつながっているし
現実の距離は
線路沿いにたどって
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