零時七分の帰宅/中原 那由多
コンビニエンスストア
毎日欠かさず立ち寄って
まだ見ぬフレーバー探してる
微炭酸 無果汁 200円
喉元を過ぎる甘酸っぱさは
青春のそれとはまた違い
少し、少しだけ擦れている
途切れ、途切れ
チラシ裏の感情さえも
どうしてなかなか捨てきれない
地下鉄に揺られるはくたびれた蒼
相変わらずの時間、相変わらずの場所
愛する人が、愛すべき人がいたとして
景色は少しでも違って見えるのだろうか
ソーシャルネットワークから逃げ出した
後ろ指さされた気がしてた
ソーシャルネットワークから逃げ出した
踊らされてるような気分だった
ソーシャルネットワークから逃げ出した
イイネ!という名の総選挙
ソーシャルネットワークから逃げ出した
空を飛べそうなほどに体が軽くなっていた
エスカレーター、片道切符
戻る気なんてさらさらないけど
帰り道への一方通行
おもちゃを片付けようとする子供が
早く片付けなさい、と母親に言われたような
生ぬるい感触を確かめながら
南へ向かって歩いていった
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