風鈴の絵 /
服部 剛
暑中お見舞い申し上げます――
越後湯沢の詩友から届いた風の
便りには自筆で風鈴の絵が描い
ており、葉書の真中の空白から
ちり〜ん
と風に靡く紙の下から密やかな
鈴の音が、鼓膜の内に響きます。
いつの時代も人は言葉で
日頃は引き出しに
仕舞っている
密かな思いを伝えます。
時に詩人は言葉にならない
祈りを
風にのせ
青々とした夏空へ、放ちます――
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