ドーナツの消失点/カマキリ
あと少し
この真ん中をくり抜いてでもすがりたいと思った接地面
ただ視覚だけの存在になろうとも見ていたかった三角形
物質に寄りすぎて踏みにじった心に
もうろうとした痛みで振り返る
鏡張りの殻に英雄にはなれなかった自分たちが反射して
泥水のシャワーを甘んじて受け入れている
だからここから先がどんなに地獄であろうともきっと分からない
そこまで過敏な神経を持ち合わせていないのだ
掻い潜れない生き恥を、いろんな角度で背負っている
作ってきた足元はそうそう壊れてあげられなかった
砕けない骨は前を進むことしか許さずに
へらへらと表情を崩してて牙を隠す
羽根の代わりのドーナツ探している
多くは、未完成のまま、強く歩いている
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