柿ピ/蒼木りん
 
柿ピを
手のひらにザーッとあけて
口の中に流し込む
人のいろんなものの結晶
一つもこぼれないように
指先をすぼめて

柿の種もピーナツも
ひとつづつままない
そんな余裕はない
後悔したくない
たくさんの小さなしわわせを
今すぐガリガリ噛み締めたい

ピリピリ辛い
人の言葉感情の難さ
甘い郷愁
ひたすら噛み砕いてのみ込む
最後は袋から口に流し込む
こんなこと負けてられるか

柿の種とピーナツほど
わたしと誰かは違う
なのに
ひとつの袋にたくさん一緒に入れられて
わたしはそれを
ぶちあけて

お金があったら
食べもしなかった
もらいものの柿ピ
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