陽光/伊織
梅雨の合間の抜けるような気候に責任はない
ただ
普段よりは眩しい昼下がり
向かい合うその人を連れ出したことには
ふわふわとした意図しかなく
上ずった笑顔と屈託のない笑顔を並べて
テラス席で陽を浴びる
シャツのボタンを2つ外して無防備な白い肌と
テーブル越しに動く大きな輪郭で
胸板が厚みを持ちはじめた
はしなくも
はしたなくも
触れたい、
と
思った
人間は罪深く欲深いから
この空の青さもすぐに忘れてしまう
立体に実在しはじめた彼について
もはや
心に閉じ込めておける保証はない
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