りんごのこと/はるな
 
ならないときにはピーラーを使えばいいし、それもないならりんごは飾っておけばいい。
なにもどうしようもできないし、何もかもを思い通りにすることができる。世界は終わったり、はじまったりする。進んだり戻ったりする。ちょうど、わたしたちが悲しんだり喜んだりすることと同じように。きょうは明るい。日が差している。きのうからきちんと眠っていないので肌が乾いているが、気分は平らだ。うす鼠色で、灰色で、なにもない。そうして、白い、壁の前にすわり、文章を打っている。これもすべて意味のないことだ。でも、意味がいったいなんだっていうんだろう?よくわからないけれど、わたしは生きていることにした。そのてんについて、わたしは、ふかいあきらめと決意を持って、嘘をつき通していくのだ。


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