サービスエリアにて/ヒヤシンス
真夜中のサービスエリアで私は自分を想う。
外灯が車のフロントガラス越しに優しく差し込み、
漂う煙草の煙をぼんやりとこの空間に浮かび上がらせる。
煙草の先端に赤い情熱が宿り、人生が少しずつ減ってゆくのが分かる。
月の出ていない夜にまばゆい人工的な灯りもまた嬉しい。
誰もが永遠に続くかのような日常で味わう苦痛を耐え忍ぶ中、
なぜ私はこれほどまでにいま幸福なのだろう。
自分の中に疼く狂気を他人に向ける事は自慢にもならない。
恨まれるに値する時を過ごしてきたはずなのに。
蔑まれるに値する時を過ごしてきたはずなのに。
きっかけは言葉と音楽だった。
真贋の心を見極めるのは難しい。見えない感情に傷付けられた人々と共に在りたい。
自分にはきっと何も出来ない。だが共にいる事くらいは出来るだろう。
吸い尽くした煙草を眺める。私はまだ生きている。それが嬉しい。
煙草と詩集と音楽と。真夜中のサービスエリアで私は今解放されるのだ。
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