貧しい詩人/月乃助
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谷の戸に
雨景の万華鏡をのぞけば 幾何学の
狂い咲く色のはざまに
あのときのアマガエルが いました
肩をはじく雨の
その中を走るのが、好きだと
狂人のように喜びながら
とうに足もクリーツもずぶ濡れの、
つめたい雫を指に落とし、
口づく 戯れごと
「「 ぼくは、おおきくなったら
プロのサッカーせんしゅ に
なりたいです
時にせつに 信をもとむれば、
雨が言った、
「「 水がこんなにも 狂おしく切ないのは
お前の前世は、両生類などでなく
青い鯨だった これは、
進化の話などでなく
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