子午線をこえる風/月乃助
 
の団扇


昔 森と聞いた記憶は、つぼみを解き


高原から千里をながめる娘の、
「「 あれが安多多羅山
   あの光るのが、阿武隈川
  昔読んだ 詩のまま
  国民宿舎から少し歩くと、夏でもリフトに乗ることができたの


知ることのない 女のすがたを
父となる人は、白黒の写真にライカでおさめた


「「 この小川は、話してくれた烏川ににています


母と連れ立って久し振りにあるく


二十二歳
若かりし娘すがたの母は、浴衣の白が緑に映えて
美しい




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