地獄の闇ナーベン!! の巻/ホロウ・シカエルボク
 
続けた。ゾゾーッ、ゾゾーッ…、麺が少なくなってくると、その下に隠れていた酢のものだった具材が、どす黒いみそのスープの中にゆらゆらと浮かんでいる。それはまるで、昔種崎海水浴場で見た、汚れた波打ちぎわのクラゲによく似ていたという。まあ、クラゲには違いないのであるが…。

いよいよ、残されたのはその酢のものであった具のみとなった。スープは残そう。その頃には、もうそう決心していた。意を決して口に運ぶ。その姿はまるで、キリストの絵を踏まんとする隠れキリシタンのようであったという。

ウッ、酢のものだっ…。

それはただ、酢のものがあったまっただけの代物だった。徹底的に煮込まれ、インスタント
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