つゆの穴/とつき
 
住宅地のおんなの下腹部にもにた
空き地は梅雨の日に
大きな穴が水をたたえ
けしてなみだではない
うるおいをとおざけるように
しせんを移動させていると
えのころぐさ
へくそかずら
どくだみ
しっぷが生えかかったとかげ
老人のナイフ
あれはしょうがなかった
複雑だから簡単にしなければならなかった
父のためだった
おじぎする人の肩にいるかえるは
豊かさのあかしであるが
直径三センチの時間のすべてをよく集めたものだ
かたく目をあけ喉だけをうごかす
わたしたちのちょうやくを待っている
あさはだめだ
吐き気がする
よるのつめがのびる
しんちょうときんちょう
潜水をこころみたが
彼女たちは鳥のようにいせいよく
自転車を投げ捨ててくる

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