テイク・ザ・ドラゴン/済谷川蛍
徐々に深刻になって反対した。私たちが揉めていると巡礼者が奇妙な発音の言語を発しながら私に詰め寄った。ハートルが恐る恐る「貴方はドラゴンに喰い殺されるだろう」と訳した。このときの私の強がりはハートルにとって不気味に映ったかもしれない。ともかくドラゴンを見れないなら、可能ならばせめてあの広場に立ちたいと思った。それが私の意地だった。細い道を慎重に歩いて私とハートルは広場へ立った。一瞬、まさかと思った。洞穴からドラゴンがジッとこちらを見ていた。幽かな唸り声を響かせ私を洞察していた。私は自分という取るに足らない存在が間もなく世界から消え去るのを傍観していた。そんな運命を変えたのはハートルだった。咄嗟にハー
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