テイク・ザ・ドラゴン/済谷川蛍
が薬草だといって細かく切ったのを混ぜた。へとへとになっていたので2人とも寝袋へもぐり灯を消した。
朝は冷え切って寒かった。目的の場所へ向かってひたすら進んだ。夕方になってやっと辿り着いたがドラゴンの姿はなかった。何もいない広場は夕陽に照らされていた。ユージュゲラン教の巡礼者たちが地面に膝をついて祈りを捧げている。ハートルが広場に入る許可を取れると言った。彼が師事している教授の名前と学生証を守衛に提示すれば命の保証はないが奥に進めるのだそうだ。無論ハートルは私が笑って断ると思いながら、やりきれないジョークのつもりで言ったのだろう。私が「そうか、じゃあ広場へ行く」と言うと、初めは笑っていた彼も徐々
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