テイク・ザ・ドラゴン/済谷川蛍
 
に接し、新鮮な感動やあらゆる価値を見出すことが人生を彩るということなのだ。自由の海を泳ぐ名人であるハートルとの出逢いもあった。
 陽が落ちて夜更け頃になると、楕円形の花びらを持つ花の芯がぽつぽつと光を放ちはじめた。赤や青、緑や黄色に。私もハートルも感嘆の声をもらし、カメラのシャッターを押した。芸術品を扱うようにそっと花に触れた。道の先や周囲に点々と光が灯り、私たちは幻想的な絵本の世界を歩いているようだった。崖からは綺羅星を散りばめた青い夜空が世界を覆っているのが見えた。テントを張って荷物を全て降ろし、仰向けになって宇宙と対面すると自分の存在が心地よく溶けていき一つの星になる。スープにハートルが薬
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