テイク・ザ・ドラゴン/済谷川蛍
を包んだ巡礼者の列が見え、彼らの謹厳な鈍い足取りを追い抜いてすれ違う際怪しげな祈りのようなものが聞こえた。「ユージュゲラン教の人たちですね」とハートルが囁いた。私の文明人の頭は彼らを軽く見下したかもしれない。ドラゴンはしょせん私たち同様動物であり、神の世界から使者として舞い降りたという伝承は知的ではなかった。
ドラゴンを見るのは私の夢だった。いや、そうではない。ただ何となく定めた目標だった。私は長らく自由を求めて日常をさすらっていたが、私の得られた自由は水槽の中で魚が味わう自由に過ぎないと思った。私は懊悩と思索の末、目的に向かって行動するしかないのだと思った。この世界に存在するものにリアルに接
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