ドラァッ!な一日/済谷川蛍
ふっ飛んでいた。おれはプリウスに乗ってその場を後にした。
−会社まで300m地点−
踏み切りを前に、嫌な予感がした。一時停止したときに案の定、カンカンと鳴り出した。一瞬アクセルを踏もうか迷ったが、チッと舌打ちをしてブレーキを踏み、サイドブレーキを引っ張り上げた。さらに運が悪く、踏み切りの中に、少女と犬が取り残された。犬のほうは後ろ足に障害があるようだった。そこに、貨車を長々と連結したディーゼル機関車が猛然と突っ込もうとしている。けたたましい警笛とブレーキ音が大気を震わせたが、まず間に合わないだろう。おれは、やはり迷った。0.01秒だけ。
「やれやれだぜ」
おれはドア
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