ドラァッ!な一日/済谷川蛍
んなツラしたやつが乗ってやがる。ベンツのドアが開いて、ぬっとヤクザが現れた。開口一番。
「こらおんどりゃあ!こっちゃ急いどんじゃっ道譲らんかい!」
おれは呆気にとられた。ヤクザは目と鼻の先まで顔を近づけ、サングラスの向こうからおれを睨んでどすを利かせた。
「兄ちゃん、事務所行こか」
おれはスタンドを出し(普通の人間にはそれは見えない)、ベンツのボンネットを引っぱたいた。ドンッと爆音が響いた。ヤクザはたまげて振り返り、そして唖然とした。愛車は無残な姿になっていた。フロントガラスはひび割れ、ボンネットは大きくめくれあがり、エンジンは大破してどす黒い煙が濛々と立ち昇り、前輪はどこかへふっ
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