ドラァッ!な一日/済谷川蛍
ると向こうから一台の黒塗りのベンツが走ってきた。おれと同じ車線を走っている。おれは、自分がいつの間にか対向車線を走ってしまっていたのかと焦り、周りを見渡したが、そうではない。やはり、ベンツが車線を間違えているのだ。(クソッ、こんなときに!)おれはブレーキを踏んで道路に止まった。しかしベンツは一向に速度を落とさない。おれはハンドルを握ったまま、ベンツを凝視する。ベンツは速度を保ったまま、真っ直ぐこちらへ突っ込んでくる。(こりゃマズイ!)と思い、ドアを開いた。するとベンツはけたたましいブレーキ音を響かせ、5メートルほど滑ったあと、コツンとおれのプリウスを小突いた。(事故だ!)とおれは思った。一体どんな
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