しゅみ/阿ト理恵
1984年6月10日時の記念日地下のパーティで、きみはぼくを殴った、はじめて逢ったぼくを
ぼくは、きみのひきつってゆがんだ横顔をみていたら、カメラのシャッターボタンを押していて、きみは、そのカシャカシャカシャカシャという連写音が鳴り終わると同時に、もしかしたら鳴り終わっていなかったかもしれないほどのスピードで、ぼくの頬を殴り、「失礼よ、こんな近距離で断りもなく撮るなんて!」きみの金属質な声も飛んできた、きみの瞳のなかに溜まった水がなにを意味するのか、ぼくにはわかるはずもなく、ぼくたちはただその時はあやまってわかれた きみが一週間後に結婚すると、ぼくはきみとぼくの
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