二人のための夜/小川麻由美
 
薄明かりの中
手を取り合う
ゴツゴツした手
細い指をした手

淡い影が
カーペットに写る
影が一つになり
カーペットの影は
揺れながら
高みにのぼる

白んだ空を迎えるまで
つかの間の時間
二人を邪魔するものはいない
二人を邪魔してはいけないの

だって
二人のための夜があっても
それはそれで
いいことじゃない?
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