狂った世界に 独りの男。/元親 ミッド
 
狂った世界に 独り。



誰もいないのだと この数年思って

生きてきたのだけれども

調子の悪いラヂオから

「 ・・だ・・か・・ いま・・・・か・・ 」

と音声のようなかすれた電子音が聞きとれた。



慌てて 窓を勢いよく開け放ち

遠い水平線に 目を細めてみたけれど

肉眼では 何も捉えることは出来ずにいた。



あの瓦礫の街を越えた どこか遠い場所に

もしかしたら 誰かがいるのかもしれない。



そう思うと いてもたっても居れなくなって

わずかな荷物だけをリュックに詰めて 旅に出た。



狂った世界に 
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