絵画の中を歩く /服部 剛
 
あの紅葉に燃える木の下にいってみよう 
あのみどり深い木の下にいってみよう 
あの石橋の向こうの赤い屋根の家の窓から
ひょいと顔を出して、世界を眺めてみよう  
戻ってきたら、石橋の(絵の中心)に立ち 
遠くからこちらに漕いでくる川面の舟に 
目を細めよう 

あぁ、世界というものは 
たった一つの風景の中でも 
いつ、何処に立つかで 
全く違って視えてくる 

最後に、木の舟に乗り 
まっすぐ寝そべってみた 

それぞれの風景の全てを 
空はまあるく、包んでいる 







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