果物夫婦/
服部 剛
「二十世紀」と「ラ・フランス」は
親しげに肩を並べ
(互いにちょっとの、すき間を空けて)
顔も無いのによろこんで、佇んでいる。
「偶然だねぇ」
「ふしぎねぇ」
ほの青さを皮に浮かべた彼と
熟した身を火照らせた赤い彼女の
丸い体と長い体は
ひとつになり、地に影を伸ばしている
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