果物夫婦/服部 剛
 
「二十世紀」と「ラ・フランス」は 
親しげに肩を並べ 
(互いにちょっとの、すき間を空けて) 
顔も無いのによろこんで、佇んでいる。 

「偶然だねぇ」 
「ふしぎねぇ」 

ほの青さを皮に浮かべた彼と 
熟した身を火照らせた赤い彼女の 
丸い体と長い体は 
ひとつになり、地に影を伸ばしている 






  
戻る   Point(7)