えんじのベレー帽/
Lucy
君が
はじめて私の手を離し
自分の羽根で
よちよちと
はばたいていった日のことを
母は忘れることができない
君はとうに
逞しい翼をひろげ
上空の風に乗り
母には見ることもできない景色を
遠く
めざしているというのに
入園の日に
君がはじめて被った
えんじ色のベレー帽を
私は今も手放せずにいる
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