カオス/中山 マキ
その大地に立った時、私達には理由があった
けれど、その理由はまるで仮初のような
良く言えば柔らかく、形のないものだった
ただ深く、ただ青いだけの私が乗る
ゆらゆらと揺れる笹舟
奥底に沈み消えるこの姿には過去も今もなく
奈落の底でこだましている声は
誰かに聞こえているはずなのに
神の声を探す人々は、常に天を見上げていて
子供の手さえ踏み潰す
美しい花をへし折って、肌色の花瓶に飾るよ
それを見て「何て美しい」と思う
胃を満たす白い皿に乗る
ラムチョップの香草焼きが甘い
全ての縮図が醜いことを
そろそろ認めなければいけない時が来ている
闇と夜を生んだ
ギリシャ神話の始まりと終わりに
人間はその時初めて
1人では生きていけないと確信したので
急ぎ過ぎている、この不平等な世界の横暴を
飲み込めずにいるのかもしれない
だから簡単に訳も無く
殺したりしてしまうのだろう
誰かが、誰かを
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