山田亮太詩集『ジャイアントフィールド』について/葉leaf
 
いた。雪だるまから歩くこと三十メートルの地点に雪だるまは立っていた。この町のこどもたちはまだ起きていた。悲しげに震える雪だるまの目はカーテンの隙間からこぼれる窓の光を見つめていた。雪だるまと雪だるまをやり過ごしたところに電話ボックスは立っていた。電話ボックスの中に雪だるまは立っていた。ぶら下がる受話器は雪だるまの声を待つものの存在を予感させた。
       (「雪だるま三兄弟」)

 ここでもう一つ山田の詩の両義性を明らかにしておこう。山田の詩に特徴的なことは、同じ言葉を執拗に繰り返すことである。もちろん、同じ言葉であっても、それぞれが違う対象を指示していたり、違う文脈におかれていたり、様
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