山田亮太詩集『ジャイアントフィールド』について/葉leaf
文が積み重なっていくにつれ、読者はだんだん山田の描く「世界」が分からなくなってくる。山田は言語によってシャープなイメージを作り出している。その文体のシャープさによって、詩の輪郭をはっきりとさせている。ところがそこに現出する世界では、「また」「ウサギが降って」きたり、「人のいない場所に人が」いたり、「ベンチの上で踊りつづけている人」がいたりするのである。言語によって事物を簡潔に描き、言語の持つイメージの喚起作用をダイレクトに利用していることはわかるが、そこに描かれる「世界」は奇妙で謎に満ちている。山田の詩は、この世界と同じだけの連続性と稠密性を持った世界を生み出しているようには思えない。そこにあるの
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