コズミックブルーエンジェル/不老産兄弟
 
おふくろから桃の缶詰が届いた
またあの季節がやってくると思うと
ため息がでた
ヘッドフォンをしたまま
添えてあった封筒をあけた
三つ折りの綺麗な和紙には
筆ペンでこう書いてあった

 北へ

    母より

早速電話の一本でもしておこうと立ち上がったが
ラジカセからヘッドフォンのコードが抜け
歪んだ音が部屋中に響いた
俺は慌ててもう一度コードを差込み
それでも漏れている音を少し気にしながら
そのままほったらかしにして受話器を取った
市外局番の最初の0を押そうとした時
受話器の向こうから女の声がした
俺は一瞬戸惑ったが
すぐに状況を把握し
受話器に耳を近
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