見込み違い/
……とある蛙
気難しい顔をした男が独り
横顔に夕陽を浴びて
刻まれ顔の皺の陰影
海面から反射した悪意を身に纏う
人生の黄昏時
手ぶらのまま男が独り
視線の先には水平線
海鳥の獲物を掠め取ろうと
海面を凝視している
異様な試みは既に数十年
絶壁は波に浸食され
波の飛沫を浴びたまま
水平線を凝視する。
海鳥なぞいないのだ。
悪夢を瑞兆の夢と勘違いしたまま
その場に佇み水平線を凝視する。
何もしない 何も出来ない
それ自体が悪だ。と気づく
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