人魚/ホロウ・シカエルボク
、ぼくはぼくで、さすがに少し仕事をしなければいけない状況になってきたので、渋々近所の喫茶店で働き始めました。そのころはまだバブルは崩壊していなくて、平日でもクタクタになるほどのお客さんをさばかなければなりませんでした。時折、三人で遊ばないかと誘われることもありましたが、とにかく休みが少ないことと疲れていることで断っていました…そんな風にして半年が過ぎた頃でした、仕事の昼休み、公園でひと息ついていると、Nの姿を見つけました。ぼくは声をかけて近寄りました。
Nはなんだかひどく疲れているようで、具合でも悪いのか、と尋ねましたが、口を開かずに首を横に振るだけでした。Yさんとなにかあったのかな、と思い
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