人魚/ホロウ・シカエルボク
 
けて部屋に入ると、小柄な女性と目が合いました。「えっ?」と思って思わず部屋を見回したけれど、確かにNの部屋です。ポカンとしていると、部屋の奥からNが出てきました。「この前話した仕事場の先輩。」それからNと女性―仮にYさんとしておきます―はお互いに少し照れくさそうな表情になりました。2人は交際することになった、というわけです。その日はそのまま三人で飲みながら話しました。ふたりの間にある空気は、付き合ってまだ間もないということが信じられないくらい馴染んだものでした。なるほどなぁ、と思いながらぼくはのんびりかれらの話を聞いていました。

Nはぼくと遊んでいた時間をYさんとの時間にあてるようになり、ぼ
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