人魚/ホロウ・シカエルボク
れと同じで、飼育員に憧れてたけどなれなくて、ペットショップに就職したんだ。なんか他人みたいな気がしなくてね…。」
そう話すNはいつもより少し浮かれているみたいに見えました。高校を二年でやめて仕事をコロコロ変えていたぼくは、なんだかかれが少し違う世界の住人に見えた気がして、そう…なんだか複雑な気分で酒を飲んでいたことを覚えています。
それから数ヶ月ほど経ったある日のことです。Nがぼくに自分の部屋に来い、と電話をかけてきました。相変わらずぶらぶらしていたぼくは、原チャリに乗ってすぐにかれの部屋を訪ねました。かれには日中部屋に鍵をかける習慣がなかったので、いつものように何も考えずドアを開けて
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