フランダース/salco
も敬遠されて無聊をかこつ毎日であった。
談話室の52型OUQASで私物のVHS「十代の性典」シリーズの若尾丈子を鑑賞しながら乾布摩擦にいそしむ日課も施設の公
平性を損なうと禁止され、何とか家に戻れないかと画策を始める。しかし遺言状作成の威を示しても、個別に不治の病を装い情に訴
えても、父を既なる故人としていたい子供達の反応は冷ややかであった。
それならと世知に疎い世代に希望をつなぐ太であったが、高校生を頭に7人の孫達にとって、あんな祖父に可愛がられた記憶は気
まずい退屈の原体験に他ならず、お年玉や卒入学祝も常識でしかない。
「おじいちゃんと暮らしてくれたら、月々の年金折半に記念切手
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