酔い泥船/……とある蛙
 

俺は叫ぶ 何かを叫ぶ
それから俺は天空の満月に向かって
身を投じた
漆黒の夜空の中央に
当然のごとく存在する大きな月
それて夜空に消えることも無く
そのまま月に体が吸い込まれ
意識が戻った時には
俺は甲板の中央に大の字になって
夜空を見上げていた。

船の中は水死人がゴロゴロ引き上げられ
皆一様に甲板から夜空を見上げ
皆一緒の舟にいるのだと気づき
またやり直そうとするのだが
すでに」
甲板は異様な匂いに包まれた
言葉は言葉にならず吐瀉物となった




結局船はそのままで
漂い続け何処(どこぞ)へ
消え去った。
月の輝く夜の海
そのまま舟は漂った。
戻る   Point(8)