縁の糸 /服部 剛
 
針を手にした(無心の手)は 
今日も、布地を進みゆく 

長い間歩いて来た 
あなたと僕の足跡は、あの日  
布巾(ふきん)の遠い両端から始まり 
それぞれに縫われる糸のように 
浮かんでは、沈みながら―― 

そうして僕とあなたは 
熟した時に 
出逢うでしょう 

天の織り成す 
いちめんの布のような 
この世界の何処かで 









   
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