白い文字/Lucy
黒板にくりかえし
書いては消されるチョークの文字を
私たちは書き写した
文字は
やがて白い粉となり
先生の足元に降り落ちた
粉となる前に
書きとめなければならなかった
この手に握った鉛筆で
若かった先生も
既に年老いていた先生も
次々と入れ替わりに教室へやって来て
リレーのように何度も書いた
平和 平等 人権 自由
個人の尊重
戦争の放棄
先生の肩に降り積もる
チョークの粉
私の心に降り積もる白い文字
再び歴史の消しゴムに
消されてしまう日が来るなどと
夢にも思わずに・・
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