夜の底/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
か、気が向いて下から先をたどってみた。
いきなり左に行くと枝分かれがないので、最後まで行ってしまって面白くないからまず右、次に左、そして右、左と辿った。
すると火の玉のような絵にたどり着いた。
「火の玉か? 小野正一を思い出すな」
野球の本でしか見たことのない伝説の投手を思いながら、しばらくぼうっと絵をみた。
すると、その先の草むらの底から、いきなり、ぼわっと、白いものが浮かんだ。
幽霊か?
まだ春先なのに早いんじゃないか?
思いながら少し驚いたが、何かすぐにわかった。
草むらよりすこし遠くの方で、どこかの家がカーテンを開けていたのだった。
周りが暗かったので、目が暗闇に慣れていて、眩しかったというだけだったのだ。
火の玉の絵をみていたのとタイミングが合い、思わず口元が緩む。
まいったなあと頭を掻きながら、散歩に戻った。
戻る 編 削 Point(2)