細い指のすきまから見えるよ/
北橋勇輝
あっ! と、驚くだろうね
凄いでしょ
細い指のすきまから
見えるんだもん
子供の頃、口の中に砂が入った
無駄に美しい不快感
じゃり、じゃり、じゃり
その時の砂が
私の細い指のすきまから
砂時計のように
さらさら、と落ちていく
まるで、ここから逃げ出したいとでも思っているように
けれど、私が大事にしていたものは無くなっていないよ
ましてや骨折してしまうくらいの高さから落ちても
壊れてなんかいない
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