三十万分の一の確率に勝った話/フゥ
けるには三万円かかりますが、どうなされますか。
受けると即答した。部屋を出たあと、母やほかの人たちはどうしたものかと困ったような顔で言った。
「気持ちは嬉しいけど、これじゃ無理だよ、検査するだけで三万円も掛かるんだし、病院は平日やってないし、また来ないとで仕事もあるからいいよ」「気持ちだけでいいよ、絶対無理だよ…」
私への気遣いで言ってくれたことも、それが現実論であることも理解している。それでも。私は自分の主張を無理矢理押し通した。後日再び会社を休んで片道四時間電車を乗り継ぎ、実家近くの父の病院に出向き検査を受けた。
一週間後。電話がかかってきた。
適合。
まず有り得な
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