脊椎動物になる。/元親 ミッド
知ったふうに語る男は、どこかいつも自慢げだった。
一体何をそんなに威張ってるんだって
よく不思議に思ってた。
尤も、どうでもいい事だったもんだから
さして気にも留めてなかったんだけど。
年を重ねただけで偉いと言われる時代は終わって
物理的ではない暴力が、この世の大気を占めていた。
猛毒であった酸素を克服して
陸に進出した古生代の先祖のように
きっと僕らも、この物理的でない暴力の中を
生きてゆかねばならないのだろう。
生きて行けなければ、ただ死ぬだけだ。
知ったふうに語る男は、いつも上からものを言う。
一体
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