彼と彼女の日常/石田とわ
2時から8時の一定した短い
勤務時間にしてもらったのだ。
そして昼間は数時間置きにヘルパーさんが様子を見にくる
ことになっている。
彼はヘルパーは要らないと言ったがこれは彼女に却下された。
それからの生活は彼と彼女の蜜月だった。
仕事から帰ると彼女はすぐに彼の点滴の支度をはじめる。
それは12時間かかるもので彼の唯一の栄養源だ。
鎖骨部分には点滴を受けるための装置が埋め込まれている。
病院で何度か練習をし、はじめはおっかなびっくりだった彼女も
今ではすっかり扱いになれたようだ。
「ねぇ、今夜はなに観る?」
点滴をセットし終わる
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