彼と彼女の中庭/石田とわ
すか」
まだ年若い主治医は彼女にそう言ったそうだ。
彼女は冷静だった。
告知を願いでて今後の治療について話を聞き、その手立てがないと
知ると退院できるかを確認した。
彼には薬もなく、ただ栄養剤の点滴を行うしかなかった。
在宅でも簡単に点滴ができるとわかると彼女は早い退院を希望した。
彼女からその話を聞いた時、わたしは泣かずにはいられなかった。
「可哀想だけど、あなたも覚悟してね。家では食事は作れないから
あなたはおばあちゃんの所でご飯を食べてから帰ってきなさい」
彼女は優しく泣きじゃくるわたしの頭をなでた。
彼女はけ
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