彼と彼女の中庭/石田とわ
 
から彼の2カ月の病院生活が始まった。

わたしは2日とあけずに学校の帰りに彼に会いに行く。
彼女は有給をとり、そのほとんどを病室で過ごすようになった。


わたしと彼が部屋を出ようとすると洗濯物を抱えた彼女が帰ってきた。
「散歩ならわたしも行く」
彼女は洗濯物をベッドに放り出す。      
   
入院してから彼は点滴だけで生きているといっても過言でない。
もとから細かった身体はこの一カ月でさらにやせ細った。
         
食事らしい食事のでない病院での一日はあまりに長かった。
彼女はそれを知っていたから休みをとったのだろうか。

入院してから散歩が彼の一番
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